私は一度読んだ本はあまり読み返さないタイプなのですが、何度か読み返す本があります。それは、伊藤洋志さんの「ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方」
初めて読んだのは、激務のアパレル会社を辞めて2度目の人生の夏休み中。
アパレルメーカーでこのまま働き続けることはちょっと難しい。じゃあこれからどうしよう、と考えていた時に読みました。
いまでこそいろんな所で、複数の仕事を組み合わせて生活していく複業が説明され知られるようになっていますが、会社員が本業の会社とは別のお仕事をする副業とは違う、別の考え方を私が初めてしっかり認識したのはこの本でした。
ナリワイの考え方は自分にしっくりくる気がして、暮らしを考えるうえでベースとしてずっと頭の中にあったような気がします。
ナリワイとはなにか
個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事を「ナリワイ」と呼ぶ。これからの時代は、一人がナリワイを3個以上持っていると面白い。
ナリワイをつくる はじめに より
就職して1つの会社で一つの仕事をする。
初めて就職したときはそのことに疑問は持たなかったけど、リーマンショックの影響で入社後4年で自分が尊敬していた上司もリストラされ、自分自身も契約打ち切りされた経験から「会社との雇用関係ほど危ういことはないな」と実感しました。
社員が仕事を最優先にして、自分の時間・健康を犠牲にしても会社の経営が傾いたら、経費削減・経営縮小をしなければ会社は倒産に向かいます。当然の流れです。
そうならなくても、働きすぎて年を重ねると体を壊す人・心を壊す人も増えてきます。そうなっても誰も助けてはくれません。
複業は複数の大小異なる仕事をして、収入源を1つではなく複数から得る。1つの仕事がダメになっても他の仕事が複数あることで、リスクが分散される。
また、違う仕事を横断することで新しい発想が生まれるメリットもあると私は考えています。
さて、複業とナリワイの違いは何か。
仕事を複数持つことは似ていますが、働くことと生活の充実が一致していて自分の経験や楽しみをお客さんと共有するお裾分けビジネスであること、と私は解釈しています。ライフとワークがグラデーションでつながっているイメージ。
そして、ナリワイは「起業して上場めざすぞー!」というバトルタイプではない、非バトルタイプの人に向いている隙間産業だってこと。
本の中のこの非バトルタイプって表現も好きです。
本の中では伊藤さんの、自分が好きで行くモンゴルでお客さんと一緒に遊牧民の見習いをする「モンゴル武者修行ツアー」や、
収穫期に入った梅の収穫を手伝いながら、専業農家の方が自力で売れない余剰分をネットで直販する「遊撃梅農家」など多数ナリワイ例が紹介されています。
収入の前に支出を見直す
この本を読んで、一番面白かったのがこの収入を見直すところのお話。
~するには〇〇円必要だ!→稼がなきゃ!もっと働かなきゃ!
ってなるのですが、稼ぐために、時間や心身を差し出して大変な思いをしてようやく手に入れる。なんか、遠回りしていませんか?
「そもそもそれをするには本当に〇〇円必要なの?」という視点。そっか、その視点があったのか、と思いました。
今まで何となく貯金していた私。なんかないと不安だから。
自分の生活に最低限必要な要素やモノコトを洗い出して、不要の支出をなくしてみることでどれだけのお金が必要なのかを把握すると、少し不安から解放されます。
そして、身軽になります。何かを始めるとき、変化するときは身軽な方が動きやすい。
「あれにもこれにもお金がかかるから、もう嫌だけどこの仕事はやめられない」っていうのは大事なこと見失っていますよね。
そうならないために、一度支出を見直し「支出を面白くカットする」ことについて考える。
工夫して面白くカットできると、それがナリワイになるかもしれない。今は、企業ができない個人がやってる暮らしや工夫が、面白がられる世の中です。
お金を使って楽しむ方法も何かを実現するのもいいけど、誰でも似た結果になる。
お金を使わずに実現する方法を考えて、工夫したらこんな風にできました、の方がもっと楽しいかもしれない。大変かもしれないけど。
もちろん全部は無理だけれど、自分で創意工夫するポイントを決めてやってみるって、暮らしや仕事が楽しくなる重要な要素ですよね。
お金を使うことは何も悪い事じゃなくて、何も考えずにみんながそうしているから、じゃあ払いますっていう、思考停止は楽しくないんじゃない?ということ。
ナリワイをつくって実行する
ナリワイをつくる考え方は2つで、一つは「未来を見る」もうひとつは私に向いていそうな「日常生活の違和感を見つける」こと。
違和感を感じたことに「そもそも」この方法しかないの?の視点で見て、他に出来る方法がないかを考える。
本の中でも出てきたのと似た事ですが、私たちは結婚式に何百万もかけること、お決まりの流れで泣けちゃう式にすることにどうしても価値が見いだせずに、いわゆる披露宴的なことはしませんでした。
ただ、報告もかねて仲のいい友達を呼んでパーティーはしたい。
そこで、2次会のようなパーティーをすることにしました。会場の飲食店を探して、ゲームや当日のスケジュールを考え企画。
ドレスは私が作り、ayuさんのセットアップは今後普段でも着られるような洋服を好きなブランドで購入。ネクタイとチーフは自作、友達がアクセサリーとブーケトニアを手作りしてくれました。
そして、会場のお花とブーケは近所のいつもお世話になっているお花屋さんに頼み、ウェルカムボードはayuさんのお仕事の先輩が作成。司会はお話上手な友人が担当。
当日流す映像を作成してくれたのも仲のいい友人。受付や会計準備などはこれまた友人が。来場者へのプレゼントは、近所のジャム屋さんのジャム。
お金を使うにしても、自分たちに近い人や応援したいところにお金を使う、っていうのも隠れたテーマでした。
写真はみんながとってくれたものを後日シェアしてもらい、幹事をしてくれたみんなが当日の映像を編集してDVDに焼いて、写真をアルバムに貼ってプレゼントしてくれました。
それで、両親にもその動画と写真を見せ報告することが出来ました。
本当にありがたいことにあたたかい周りの人に協力してもらい、出来上がったパーティーでした。
プロの人に丸投げせずに自分たちで動いて企画したことで、少なくとも私たちは忘れられない楽しい時間になりました。
これは、ナリワイではないけど違和感を感じたことに対して他の方法を考えてトライしてみたらもっと楽しくできるよ、っていう経験になりました。
もちろん手間暇はかかるけれど、お金以上の良い経験でした。
他にもナリワイの実行の仕方も載っていますが、この辺は本が出た当時よりも個人が小さく始める為のサービスもたくさん出来て、もっともっと始めやすくなっているな、と感じます。
そして自分も実行実践していくためにここに感想を書きました。今後、始めたことを紹介していきたいと思います。
まずは自分の暮らしをおもしろく
この、ナリワイの考え方は地方に移住するにあたって活かせる考え方なんじゃないかと思ってご紹介しました。
地方は仕事がない、とよく言われます。じゃあどうしたら、そこで楽しく暮らすために仕事できるのか。
小さくはじめて、やればやるほど頭と体を鍛えられる、技が身につく。
そして、1つで大きく稼ぐのではなく、小さなものを組み合わせたり季節によって変えたり。自分たちが欲しい、したい暮らしをすることを通して仕事になる。これが理想形です。
本の中にありました。
まずは、自分の生活を面白くすることからがスタートだ。
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